「だし」濃厚レクチャー
2018.11.8
2018.4
鰹節問屋にんべんさんの研究開発部で、出汁(だし)についてのお勉強をさせていただきました。
夏に発行される冊子のレシピページのためのお仕事です。
鰹節菌研究の第一人者・荻野目望さんにレクチャーを受けるといううれしき機会。
現在、鰹節づくりで使われている鰹節菌が特定されたのはたった35年前。
それまでは製造元それぞれが自然に任せてカビ付けをしていたそうです。
良い出来の鰹節もあればそうでないものもあるという玉石混交の状態。
当時、同じ日本の伝統食品でも醤油や味噌では菌の研究が進んでいて、メーカーさんに専門の研究部門もあったけれども
鰹節の研究者はほとんどいなかったのです。
そんな中、荻野目さんは関連する論文を読み、全国各地の鰹節業者に許可を得てそれぞれの節を調べました。
伊豆や焼津、枕崎・・・100本以上の鰹節を集め、そのカビを培養し、菌を特定。
時間も手間も膨大にかかる検証をしながら、ようやく発見されたのが現在使われている鰹節菌です。
驚いたことに、菌の発見を報告した荻野目さんに、当時のにんべんの社長さんは、
「よく頑張ってくれた。では、すぐに他の会社にも教えてあげなさい。お金は取らなくていいから」と言ったそうです。
いわばライバルにも無料で使えるように指示!
荻野目さんは、びっくりしたけれども、
「一社が良くても他の会社が変なものを出したら、消費者に『鰹節なんてそんなもの』と思われてしまう。」と納得したそう。
その後は、それまで多かった鰹節の不良品が激減したそうです。
んー、素晴らしきお話し。
まずは色々なお出汁の味比べ。
今回、レシピで使うのが羅臼昆布、国東半島の香信椎茸、焼きあごの3つなので、それらを入れた
・水出し真昆布
・真昆布
・利尻昆布
・羅臼昆布
・原木椎茸
・菌床椎茸
・焼きあご
の7種類。
ぬぬぬ。
昆布はこれまでに味比べしたことあったけど、原木と菌床の椎茸の差が面白い!!
こういう道具欲しいなぁ。(置く場所がなさそうだけど)
味や香りの由来について説明を伺いました。
そのあとは場所を移して出汁素材を見ながらレクチャーの続き。
鰹節の断面。ピカピカ。
そうそう、われわれが普段接する鰹節って、ほとんどがカビつけする前のものなんですよ。
枯れ節は数少ないのです。
なんと30年ものも鰹節も!!
ちょっと珍しい鮭節も。
椎茸。
この後、たくさんの論文を見せていただきさらなるレクチャー。
たくさん質問もさせていただきました。
本来2時間弱の予定が気づけば4時間!!(編集者、カメラマンの方スミマセン)
大変充実した取材でした。
これは明治時代(だったかな?)の鰹節に関する書物。